モデル内でインフィル充填率を複数設定する。【UltimakerCURA】

3Dプリンター

3Dプリンターで中空構造の物をプリントする際に、内部に補強材をプリントする事があります。
これをインフィルと呼びます。
大きな魚を釣る為の大きく重たいルアーを作る際には、ルアー内部にもこのインフィルを設定して作る事がありますが、小さいルアーの場合は浮力を減らしてしまう原因になる為、インフィル0%でプリントする事が多くなります。
しかし、あえてこのインフィルを設定する事でルアーのアクションを抑えたり、ウェイトバランスを操作する事で水中でのルアーの姿勢を変えたりする事が可能になります。

スライサー

3Dプリンターでプリントする為には、先ず3D-CADや3Dモデリングソフトを使ってSTL形式のデータを作成し、スライサーと呼ばれるソフトウェアでSTL形式のデータを3Dプリンターを動作させる為のgcodeデータに変換します。
基本的には3Dプリンターを購入した際に付属しているメーカー純正スライサーを使いますが、多くのスライサーではインフィルはモデル全体に同一の充填率で作成される為、モデル内で任意の箇所に違った充填率を設定する事が出来ません。
また、メーカー毎に3Dプリンターが読み込めるgcodeファイルの形式が異なる場合があり、モデル内でインフィル充填率を複数設定する為には、そのプリンターが読み込む事が出来る形式のgcodeを出力可能であり、モデル内でインフィル充填率を複数設定する事が出来るスライサーを選択する必要があります。

この記事では、無料で入手できて上記の条件を満たすUltimakerCURAを使って解説します。

モデルを読み込む

モデルデータ読み込み。

先ず、出力するルアーのモデルデータを読み込みます。

マスクデータ読み込み

マスクデータ読み込み

次に、「任意のインフィル充填率を設定する領域をマスクする為のモデルデータ」を読み込みます。
このマスクデータは「任意のインフィル充填率を設定する領域」を覆えるサイズであれば、どんな形状でも構いません。インフィル充填率を設定する領域の形状をより精密に設定するのであれば、その形状のデータを作成しましょう。
ここでは、立方体をマスクデータにします。

マスクデータ配置

マスクデータ配置

インフィル充填率を設定する領域を覆うようにマスクデータを配置します。
配置する際に、画像のようにビルドプレート…床面から離す事が出来ない場合は

[Preference]→[Configure Cura…]をクリックし[General]のタブから[Automatically drop models to the builde plate]のチェックを外して下さい。

メッシュタイプ

マスクデータを選択し、画面左側のメニューからメッシュタイプを[Modify settings for overlaps]を選択し、[Infill mesh only]を選択します。

マスク領域のインフィル充填率を設定

この状態では、インフィル充填率の設定項目が表示されていない為、インフィル充填率の設定項目を呼び出します。

[Select settings]をクリックし、[Select Settings to Customize for this model]から[Infill Density]と[Infill Pattern]にチェックを入れて領域内のインフィル充填率を設定します。

プレビュー

設定が完了したら、画面右下の[Slice]をクリックしプレビューします。

インフィル設定領域のプレビュー

インフィル充填率を20%、インフィルパターンをZigZagに設定した箇所のプレビューです。
画像ではルアーのボディ先端から10mmまでインフィルを設定し、リップ付け根の補強をしています。

ルアー本体側はインフィル0%

画像のように、インフィル設定をしたマスク領域ではない箇所、ルアー本体側はインフィル0%になっています。

応用作例

作例

解説の作例とは違いますが、画像のルアーではボディの内部でインフィル充填率に変化を付けています。

  1. インフィル0%
  2. ボディ前半分インフィル13%(Octet)ボディ後ろ半分4%(ZigZag)
  3. ボディ先端側20mmインフィル25%(Octet)ボディ後ろ側40mmインフィル0%

この3つのルアーでは、アクションの差は大きくは出ませんでしたが潜航するレンジに有意差が見られました。使い分ける事でルアーを通したいレンジを細かく選ぶ事が出来る為、魚の反応するタナがシビアな状況で効果的。

細かな設定を使う事でルアー作りの幅が広がる

このように、同一モデルでもスライサーの設定でルアーの特性にバリエーションを持たせる事や、そのルアーをより深く作りこむ事が出来ます。
特に、この手法は3Dプリンターだからこそ可能なルアー作りのひとつです。
UltimakerCURAのような汎用スライサーは快適にプリントする設定すらも自分でやらなくてはならず、面倒ではありますが挑戦してみる価値はあると思います。

この記事を書いた人

神奈川県西湘地区~伊豆半島で釣りしてます。エギングとエリアトラウトをする事が多い。釣果は食べる派。猫がいると釣りを中断します。
フィラメントはPLA派です。

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