ルアー単位の比重から内蔵ウェイトの重さを推定する。

3Dプリンター

ルアーを作る際に、多くの場合何かしらの重りを内蔵する必要があります。
これは重心を集中させる事でアクションの軸を作る事や、フローティング/シンキングの設定をする為だったり様々な理由があります。
その際に、そのルアーに対してどの程度の重量を物を内蔵すれば狙った設計が出来るか、多くの場合はビルダーの勘や経験から成されると思いますが、基準を知っていればより効率的にルアーの設計をする事が出来ます。
この記事では、ルアーのボディに対してフローティング/サスペンド/シンキングの設定をする為の基準について解説します。
※Fusion360で設計する前提です。

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ボディの体積。

ルアーのデータを作成する際に、先ずはルアーのボディ形状の設計をする事が殆どでしょう。
ボディ形状の設計が済んだら、左上のボディを右クリックし、プロパティを選択してください。

※後から取り付けるパーツの溝等の編集をする前の状態で体積の確認をして下さい。

すると下記のようなウィンドウが表示されます。

このルアーのボディ体積は4423.887mm3です。
水に対しての比重 = 重さ(g)/体積(cm3)
なので、4423.887mm3 = 4.423887cm3 と単位を合わせておきます。

上記画像では物理マテリアルをABSプラスチックにしている事で推定重量の計算もされていますが、3Dプリンターで用いられるフィラメントは3Dプリンターで利用する為の調整がされた物なのでピッタリこの通りにはなりません。あくまで参考の数値です。

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プリント後のボディ重量。

プリント後のボディ重量の概算を確認します。
FlashForgeの純正スライサーFlashPrintではスライス実行後に印刷物の重量を見る事が出来ます。
シェルカウントやレイヤ厚、インフィル充填率等は実際の印刷で用いる設定。
サポートは付けず、ラフトやプレ押し出し等の項目を無しに設定してスライスします。

このルアーではプリント後のボディ重量は1.85gとなりました。

FlashForge純正フィラメントを使えば概ねこの通りになると思います。

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ルアー全体としての比重。

通常、比重は素材に対して用いられる事が多いと思います。
水の比重を1.00として、理論上それより大きければ沈み、同じなら浮きも沈みもせず、それより小さければ浮きます。

つまり、このルアーは体積が4.42cm3なので最終的な重量が4.42gであれば浮きも沈みもせず、それより重ければ沈み、それより軽ければ浮くはず。

そしてボディのみでの重量が1.33gなので、4.42g – 1.85g = 2.57g 、2.57g未満の物を内蔵すれば浮きます。

このルアーは完全に浮かせて使うトップウォーターのルアーなので、0.9gのスチール球を内蔵します。

※最終的な重量は塗料やスプリットリング、フックの重量も含めた重さです。厳密に設計する際には事前に使用する部品重量を測って計算に入れる必要があります。

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試作する。

プリントしました。

実測1.5gと、事前に確認した1.85gより0.35g軽くプリントされました。

プリントした1.5gのボディに、0.9gのスチール球を埋め込み、エイト勘を取り付けて塗装した物です。

ボディ1.5g + スチール球0.9g = 2.4gよりも0.5g増加しています。
エイト勘と塗装、埋め込みに使ったUVレジンや補強に差し込んだABSフィラメントの切れ端等の重量です。

スプリットリングとフック(Vanfook SP-31 #8)を取り付けました。

塗装後のボディ2.9gより0.2g増加しました。

 

これで、ルアーの体積4.42cm3に対して重量3.1gなので、比重は0.70になりちゃんと浮くルアーが作れた事がわかります。
また、体積1.00の場合は4.42gに対して3.1gなので残浮力は1.32gに。

この投稿ではシンプルに解説する為に最終的な完成データを用いましたが、実釣テストでのアクションからボディ形状を修正して体積を増加させたりしており、操作感や実際のアクションが良いよう仕上げています。
つまり、ペンシルベイトの比重は0.70程度に設計すると良いかもしれないという事がわかりました。

※実際には重心位置やボディ形状による水受け等でアクションに差異が生じる事や、より多くの比重違いのルアーを作って比べる事でより良い比重のルアーがある可能性は多いにあります。

応用。

ルアー単位での比重を見る事でそのルアーに適した重り重量の推定をすvる事が出来ました。
更に、シンキングのルアーの場合は比重によるフォールスピードも推定する事が出来ます。
※実際にはボディ水受けや水質、水流の影響があります。

「再現性の高さ」は3Dプリンターでルアーを作る利点のひとつです。
このように、ボディ形状の設計時点で目標総重量を推定する事は特に再現性の高い3Dプリンターでのルアー作りの利点と言えるでしょう。

この記事を書いた人

神奈川県西湘地区~伊豆半島で釣りしてます。エギングとエリアトラウトをする事が多い。釣果は食べる派。猫がいると釣りを中断します。
フィラメントはPLA派です。

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